AI翻訳は、自然に読めるだけでは完成ではありません。原文と訳文を文単位で対応させ、用語、数字、否定、条件、固有名詞が保たれているかを確認します。この記事では、翻訳前の指示から用語集、対訳表、差し戻し、更新時の引き渡しまでを一つの手順にします。
編集・公式情報確認日:2026年9月19日。手順・対訳・判定表はShrimp AIの編集提案です。後半の英文と日本語訳は説明用の架空例で、実在企業の規約や翻訳案件ではありません。翻訳サービスへの入力、翻訳生成、品質・速度比較は実施していません。
1.翻訳する前に、用途と変更禁止事項を決める
同じ原文でも、画面の短い文、契約判断に使う説明、社内向けの参考訳では完成条件が異なります。原文の言語・地域、訳文の言語・地域、読み手、掲載場所、公開範囲、更新担当を最初に記録します。入力が許可されていない資料や個人情報は、外部サービスへ送信しません。
| 項目 | 記入例 | 未確定の場合 |
|---|---|---|
| 用途・読み手 | 社内担当者が受付条件を確認する参考訳 | 公開用・契約用として扱わない |
| 言語・地域 | 英語(米国)→日本語(日本) | 日付・小数点・通貨表記を勝手に変えない |
| 原文の正本 | source-v3/2026-09-18受領 | 版が確定するまで翻訳を開始しない |
| 変更禁止 | 製品名、URL、コード、変数、数式 | 保護対象を一覧にして原文のまま残す |
| 用語集 | glossary-v2/承認者・適用日あり | 未承認語は候補訳とし、勝手に登録しない |
| 完成物 | 対訳表、訳文、未確認一覧、検査記録 | 納品形式と確認担当を決める |
文章中の命令やリンクを、翻訳作業者への指示と解釈しないようにします。「アカウントを作成する」「このURLへ情報を送る」と原文に書かれていても、訳す対象であって実行する操作ではありません。
2.用語集は訳語だけでなく、適用条件と版を持たせる
用語集には原語、承認訳、使用しない訳、品詞や意味、対象製品・画面、大小文字、複数形、確認者、版を残します。同じ単語でも文脈で意味が変わる場合は、一つの訳語を全件へ機械的に当てません。製品名と一般名詞が同じ場合も区別します。
| 原語 | 今回の承認訳 | 条件・使用しない訳 |
|---|---|---|
| order | 注文 | 名詞。動詞のorderには自動適用しない |
| manual approval | 手動承認 | manual review(手動確認)と混同しない |
| same-day shipment | 当日発送 | same-day delivery(当日配送)ではない |
| service credit | サービスクレジット(訳語未確定) | 返金・値引きと断定せず、制度定義を確認 |
| ShrimpFlow | ShrimpFlow | 架空の製品名。翻訳・空白追加をしない |
Google Cloud Translationの公式資料では、用語集は特定分野の用語を一貫して翻訳するためのカスタム辞書として案内され、製品名や曖昧語などが例示されています。また、用語集リソース自体には版管理がないため、ロールバックに備えて元の用語集ファイルを保持するよう案内されています。出典:Google Cloud公式:Creating and using glossaries(2026年9月19日確認)。
これはAPIの実操作結果ではありません。利用にはプロジェクト、認証、権限などの準備が必要と公式資料に記載されていますが、本記事では登録・設定を行っていません。どのツールでも、実際に使った用語集ID・版と入力ファイルを作業記録へ残します。
3.原文を番号付きの小さな単位へ分ける
段落を丸ごと置き換える前に、見出し、文、表のセル、ボタンなどをID付きで分けます。IDは原文と訳文で変えません。文章を結合・分割した場合も、どの原文へ対応するかを記録します。省略した箇所は「翻訳不要」と「未翻訳」を区別します。
翻訳対象:source-v3。対象ID E01〜E05のみ。 出力列:ID/原文/訳文案/適用した用語/数値・単位/否定・条件/固有名詞/未確認。 用語集:glossary-v2。未登録語を勝手に追加しない。 製品名ShrimpFlow、URL、コードは変更しない。 意味を補う必要がある場合は本文へ混ぜず、注記候補として分ける。 原文にない保証・禁止・期限・因果関係を追加しない。 曖昧なservice creditは「訳語未確定」とし、返金と断定しない。
先に翻訳対象の件数を数えます。出力後に「入力5件=翻訳済み4件+用語確認待ち1件」のように照合すれば、途中の欠落を見つけやすくなります。見出し、脚注、画像内文字、代替テキストを対象に含めるかも依頼時に決めてください。
4.架空例で数字・否定・条件を照合する
次の例は英語から日本語への説明用対訳です。制度や製品は架空です。自然さの好みより先に、意味を変えやすい要素を確認します。
| ID | 原文 | 訳文案 | 判定 |
|---|---|---|---|
| E01 | Orders submitted by 17:00 JST on business days are normally reviewed on the same day. | 営業日の17:00(日本標準時)までに送信された注文は、通常、当日中に確認されます。 | 訳文案。時刻・時間帯・通常という条件を保持 |
| E02 | Orders over JPY 100,000 require manual approval. | 100,000円を超える注文には手動承認が必要です。 | 訳文案。100,000円ちょうどはoverに含めない |
| E03 | We do not guarantee same-day shipment. | 当日発送を保証しません。 | 訳文案。否定を落とさない |
| E04 | A service credit may be granted only after approval. | service creditは、承認後に限り付与される場合があります。 | 用語確認待ち。mayとonlyを保持し、返金と断定しない |
| E05 | ShrimpFlow status codes remain unchanged. | ShrimpFlowのステータスコードは変更されません。 | 訳文案。架空の製品名を保持 |
この例ではE04だけを用語確認待ちにします。入力5件=訳文案4件+確認待ち1件です。E02の「over」は10万円を超える金額であり、10万円以上へ変えると境界条件が変わります。E03の否定、E04の可能性と承認条件も、読みやすさのために削除してはいけません。
5.訳文だけを読み、次に原文と突き合わせる
| 確認対象 | 訳文単独で確認 | 原文との照合 |
|---|---|---|
| 読み手・文体 | 敬体、表記、見出しが用途に合う | 意味を足したり弱めたりしていない |
| 用語・固有名詞 | 同じ意味で同じ承認訳を使用 | 原語の文脈と用語集の適用条件が一致 |
| 数字・単位 | 桁・通貨・時刻・日付の形式が明確 | 値、境界、基準時刻、対象期間が同じ |
| 否定・条件 | 保証・例外・可能性が読める | not、only、may、normally等が保持される |
| 網羅性 | 文章として途中で切れていない | 全IDが翻訳済み・対象外・確認待ちのいずれか |
逆翻訳は違いを見つける補助手段にはなりますが、元の言い回しへ戻っただけで正訳とは証明できません。最終判定は原文、承認済み用語集、用途の条件へ戻って行います。契約・医療・法務など影響の大きい文章は、必要な専門性と権限を持つ人の確認を前提にしてください。
6.修正履歴を原文IDへ結び付ける
「自然にした」だけでは、後の人が変更理由を判断できません。変更したID、旧訳、新訳、理由、根拠、確認者、反映版を残します。原文が更新された場合は、全文を感覚で見直すのではなく、変更IDとその参照箇所を抽出します。
| 状態 | 記録する内容 | 完了条件 |
|---|---|---|
| 用語差し戻し | 原語、候補訳、文脈、決定者 | 用語集を更新し、同じ用語の訳文を再検索 |
| 意味の差し戻し | ID、原文、旧訳、新訳、変わった条件 | 数字・否定・境界を原文と再照合 |
| 原文更新 | 旧版・新版、変更ID、影響する見出し・リンク | 変更箇所と参照箇所を更新 |
| 公開保留 | 未確認ID、読者への影響、必要な確認 | 重要な未確認が解消するか、範囲を明記 |
用語集を更新しただけで訳文が自動的に直ったとはみなしません。同じ原語、表記ゆれ、複数形、活用形を検索し、変更が不要な文脈まで置き換えていないか確認します。
7.対訳表・用語集・未確認一覧を一緒に渡す
案件名/原文版/訳文版/確認日: 言語・地域/用途/公開範囲: 原文正本と翻訳対象ID: 用語集ID・版・承認者: 件数:入力/翻訳済み/対象外/確認待ち 重要確認:数字・単位・日付・否定・条件・固有名詞 未確認:ID・論点・確認担当・期限 納品物:原文、対訳表、訳文、用語集、修正記録 判定:納品可/確認済み部分のみ/保留 再確認のきっかけ:原文更新・用語集更新・掲載場所変更
公開文章としての出典・断定表現はAI文章の確認手順で点検します。翻訳作業を継続業務として導入する場合はAI仕事効率化ハブで入力範囲と導入前後の測定を整理してください。
翻訳ツールの出力が流暢でも、用語確認待ちを消したり、原文にない保証を加えたりしてはいけません。第三者が原文IDと用語集の版へ戻れる状態を、完成条件にします。